チームのメンバーと考えたいこと

僕はけっこう押し付けがましい。まず言い方が悪い。でも回りくどい言い方をして嫌味になるよりはマシなような気もちょっとだけしてるけど、たぶんただの言い訳だろう。

なんで自分でもキツい言い方なのかを考える。気持ちが先走っているのがまあ一番正直なところだろう。

もっとみんなに全体を見てもらいたいし、もっと効率を追求してほしい。もっと良いやり方があるかもしれないことを考えてほしいし、もっと楽しくやれることもあるかもしれない。無駄に悩む時間を費やしてほしくないけど、他のメンバーと共有できる問題ならコストをかける価値はあると思う。

理想は一匹の野生動物のように素早く動けるチーム。各自が脊髄反射的に判断を下すけど、ちゃんとそれぞれが確認して全体として合理的に素早く動ける。チームプレイのスポーツはたぶんだいたいそういうのが理想に近いんじゃないだろうか。

そこまでチームを練り上げれば、けっこう怖いものないんじゃないのかなとか思ったりする。ソフトウェア開発で一番時間を食うのがお互いの意図を確認する作業だと思っているので、それをきっちり綿密にできるチームは、野生動物とまではいかなくても、コミュニケーションに難儀しているチームよりはよっぽど素早く動ける気がする。

でも意図を確認するのは結構しんどい。ケアレスミスなのか、前提条件から違っているのか、判断の基準が違うのか、相手に気を遣うと遠回りな質問になったりして逆に質問が通じなかったり。話の抽象度を合わせたり、微妙に異なるスコープの話では、多少の用語の違いは好意的に解釈したり。あるいは逆も。こういうのって失敗しないと中々分からない。自分の失敗の経験を他の人に共有できる人ってすごい人なんだと思う。


野生動物だって最初はひ弱な赤ん坊。チームを組んで最初からトップスピードで走れる人達は稀だし、そのトップスピードが他のチームと比べて早いかどうかはまた別の話だ。

最初からいきなりスタートダッシュはできないけど、そのうちきっと出来るようになると思う。でもダッシュができることと生き残ることは関係はしているけど、早く走れるから生き残れる訳じゃない。

この業界では「できることをコツコツやる」より「できないことをできるようになる」ほうが生き残れる確率は上がる気がする。素早さは生き残るための選択肢の一つで、僕は一番重要だと思っているけど、もっと重要なことがあるかもしれない。

素早さは価値を見出しやすいけど、それよりも他の嗅覚が役にたつこともあるかもしれない。スピードが早いことがチームとしての価値に確実に繋がるなんてことは誰も保証してくれない。地道に独自の論理を積み重ねてオリジナリティ溢れる製品を作ることももしかしたらチームが成功する鍵かもしれない。

何が成功に繋がるかは分からない。

ただチームとしてやり取りが少なくなればなるほど、チームとしての動きはギクシャクするのは想像に難くない。徹底したトレーニングで一時的にコミュニケーションがなくてもばっちりダッシュできるチームもあるかもしれないけど、中長期的に日頃のチームプレイの中でコミュニケーションを深めてより素早く確実なものにする、っていう方が現実的だと思う。


これをやっておけば一生食いっぱぐれない、なんてスキルはもう残り少ない。残っててもその保証はどこにもない。

日々の仕事は正にその実証であり、これだけやっておけば食いっぱぐれないなんてお気軽なことは何もない。常に自分たちを、自分たちが動くルールや取り巻く環境を、能動的に変えていく習慣が必要で、それをやったとしても、何がオッケーなのか、何をするべきなのかを定期的に再定義することでしか、「正しい」とか「良い」なんてことは言えないんだと思う。

怠けたり、誰かに任せたりしないで、各自が協調してチームとして考えをまとめよう。大人のチームってその辺いい感じにできてそうな雰囲気あるじゃない?


で、僕らはいまどうなってるかな?まだ赤ん坊?スキップができるようになった子ども?それともそろそろダッシュで突っ走れる高校生くらい?金を稼いで会社にお金を入れられるチームにちゃんとなれるかな?